飲食店開業に必要な資格と届出はどんなもの?

「飲食店開業をするために何の手続きが必要??」

飲食店を開業しようとしている時には色々やることがあり、何から手を付ければと悩まれている方も多いと思います。今回はその中の「手続きに必要な資格、基準」についてお話させていただきます。

1.飲食店開業に必要な資格

①食品衛生責任者

飲食店を経営し、食料品を扱っている事業を行う場合には必ず「食品衛生責任者が」一店舗に一人以上配置する必要が基準で定められています。従業員がいる場合、経営者でなくとも各店舗の誰かが取得していればよいものとはなりますが、常時店舗にいる従業員が取得すべきと私は考えます。

  • 調理師免許
  • 管理栄養士

上記2つの資格を持っている場合には無条件で取得できますが、一般の方は「食品衛生責任者養成講習会」を受講し、受講内容のテストを受ける必要があります。各自治体の食品衛生協会で行っており、大体月1回未満~10回と幅広く、すぐに満員になることもありますので早めに申し込みをすることをお勧めします。

 

受講料は3,000円~12,000円で自治体によって違います。大阪ですと月に4~5回、費用が10,500円、加古川市ですと兵庫県管轄となり、費用が8,000円、毎月ではなく2~3か月に1回、明石市ですと費用は同じく8,000円、2か月に1回、神戸市ですと費用はやはり8,000円ですが、月1回となります。

 

当日は全部で6時間、内訳は衛生法規2時間、公衆衛生学1時間、食品衛生学3時間となっております。修了すると受講修了証(食品衛生責任者手帳)がもらえ、これが営業許可申請に必要となります。したがって開業予定日を考えて申し込む必要があります。

 

②防火管理者

収容人数が30人以上の店舗の場合は防火管理者を選任しなければならないです。

この「30人」という数字ですが、従業員も入ります。したがって客席数が25席で従業員数が4名のような「29人」までが防火管理者を設置する必要がない店舗となります。

種類が基準によって2つありまして

  • 延床面積が300平米以上の場合は・・・甲種防火管理者
  • 延床面積が300平米未満の場合は・・・乙種防火管理者

の選任が必要です。

防火管理者になるためにはやはり講習を受講する必要があり、各地の消防署や防災センター等で実施されております。費用は3,000円~5,000円程度です。講習期間ですが2日、乙種は1日になっております。ちなみに加古川市の場合、費用が5,000円、年に3回加古川市防災センターで行われており、神戸市ですと費用が7,500円、月1回神戸市防災コミュニティーセンターで行われております。同じく修了証が交付されます。

 

2.営業許可を受けられないケース

食品衛生法上の許可は基準がクリアできていれば、原則はおります。

しかし「欠格事由」という例外が存在します。申請前に点検してから事業計画をする必要があります。欠格事由は、

  • 食品衛生法または同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その刑の執行を終わるか、執行を受けることがなくなった日から2年間を経過していない
  • 食品衛生法の規定に違反するなどして許可が取り消されて、その取り消しの日から2年間を経過していない。

以上の物が挙げられます。

 

3.施設基準

食品衛生責任者講習同様、各自治体でばらつきがありますので当事務所所在地である兵庫県の事例で記載します。業種別基準に関しては飲食店のうち、移動販売等もしくは自動販売機によるものあるいは露店形式の物を除いて記載しております。中でもソーセージや生肉に関してはかなり細かく決められております。

これは食品におけるハザード(危害要因)のうち生物的ハザードに分類される食中毒菌や寄生虫の影響を受ける可能性が高い為です。(ソーセージではボツリヌス菌、生肉ではカンピロバクター、サルモネラ等)

 

食品衛生法基準条例より抜粋

 

第1 共通基準

1 営業施設の場所、面積及び構造

(1) 営業施設は、清潔で衛生的な場所に位置すること。ただし、衛生上必要な措置を講じている営業施設については、この限りでない。

(2) 営業施設は、取扱量に応じた十分な広さを有すること。

(3) 営業施設は、それぞれの使用目的に応じて、専用できるように間仕切りその他適当な方法で他と区画されていること。

(4) 営業施設の天井等は、清掃しやすく、ほこりが落下しない構造であること。

(5) 営業施設の内壁は、必要に応じて床面から1メートル以上不浸透性材料(コンクリート、タイル等水が浸透しない材料をいう。以下同じ。)で腰張りし、かつ、清掃しやすい構造であること。

(6) 営業施設の床は、必要に応じて不浸透性材料を使用し、排水がよく、かつ、清掃しやすい構造であること。

(7) 営業施設の作業面の明るさは、50ルクス以上であること。

(8) 営業施設は、換気が十分にできる構造設備であること。

(9) 営業施設には、ねずみ、昆虫等を防ぐ設備があること。

(10) 営業施設には、使用に便利な位置に各種使用目的に応じた流水式洗浄設備並びに従業員専用の流水式手洗設備及び手指の消毒設備があること。

2 食品取扱設備

(1) 営業施設には、その取扱量に応じた数の機械器具類があり、衛生的に使用できるものであること。

(2) 固定された機械器具類又は移動の困難な機械器具類は、清掃及び洗浄しやすい位置にあること。

(3) 取扱量に応じた食品等を衛生的に保管することができる設備があること。

(4) 食品に直接接触する機械器具類は、洗浄しやすく、熱湯、蒸気、殺菌剤等で消毒できるものであること。

(5) 必要に応じ、ほこり、昆虫等を防ぐ設備があり、保冷又は保温の装置のある衛生的な食品運搬具を備えていること。

(6) 冷蔵、冷凍、殺菌、加熱、圧搾等の設備があり、見やすい箇所に温度計、圧力計等必要な計器類を備えていること。

3 給水及び汚物処理

(1) 水道水その他飲用に適する水を豊富に供給する設備があり、水道水以外の水を使用する場合は、除菌又は殺菌装置及び必要に応じて浄水装置を備えていること。

(2) 排水溝又は汚水だめは、不浸透性材料で作られていること。

(3) 不浸透性材料で作られ、かつ、汚水及び悪臭の漏れない構造の汚物処理設備があること。

(4) 便所は、ねずみ、昆虫等を防ぐ構造のもので、流水式手洗設備及び手指の消毒設備があること。

4 適用除外

1から3までの基準は、第2の業種別基準として定める特例基準が適用される営業施設については適用しない。

 

第2 業種別基準

1 飲食店営業

(1) 営業施設は、必要に応じて調理場及び客室に区画されていること。

(2) 営業施設には、温度計を備えた適当な大きさの冷蔵庫があること。

(3) 調理場には、合成樹脂製又は合成ゴム製で洗浄しやすい構造のまな板を備えていること。

(4) 折詰弁当類を調理する場合は、ほこり、昆虫等を防ぐ構造の調理加工品を放冷するための設備があること。

(5) 自家製ソーセージ(原料肉に豚肉又は牛肉を用い、ケーシングとして羊腸を用い、蒸煮又は湯煮により殺菌したものであって、異なる業者の手を経ることなく直接消費者に販売するものをいう。)を調理する場合は、次に掲げる構造設備であること。

ア 調理場は、次に掲げる構造設備であること。

(ア) 肉ひき機、肉練り機、充填機、くん煙機、湯煮槽、冷却槽その他必要な機械器具類があること。

(イ) 給湯設備を有する器具の洗浄設備があること。

(ウ) 使用に便利な位置に流水式手洗設備及び手指の消毒設備があること。

(エ) 製品の中心部を測定できる温度計を備えていること。

(オ) 肉の水素イオン濃度を測定するための装置があること。

(カ) 細菌検査装置があること。

イ 冷蔵設備があり、原料肉用及び製品用に区画されていること。

ウ 計量室があり、添加物、調味料等の専用の保管設備及び添加物、調味料等の計量のための計器を備えていること。

(5)の2 生食用食肉(牛の食肉(内臓を除く。)であって、生食用のものをいう。以下同じ。)を調理する場合は、次に掲げる構造設備(加熱殺菌した生食用食肉のみを使用する場合にあっては、アからエまでの構造設備)であること。

ア 生食用食肉の調理を行う場所は、他の場所と明確に区分されていること。

イ 生食用食肉の調理に使用する器具専用の洗浄設備及び消毒設備があること。

ウ 生食用食肉の調理を行う従業員専用の流水式手洗設備及び手指の消毒設備があること。

エ 生食用食肉が接触する設備及び器具は、専用のものを備えていること。

オ 取扱量に応じた十分な能力を有する生食用食肉専用の加熱殺菌設備があり、温度計を備えていること。

カ 加熱殺菌した生食用食肉を速やかに摂氏4度以下に冷却することができる専用の設備があること。

(6) 客室には、必要に応じて紙くずかご等を備えていること。

(7) 客室の明るさは、10ルクス以上であること。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。いざ飲食店を始めようと思われても何から手を付けるべきかわからず、許可を後回しにしてしまい、結果的に開業に間に合わない事もあり得ます。無許可で営業した場合には罰則もありますので、お忙しいかたはお早目に専門家にご相談くださいませ。