飲食店開業ノウハウ

HACCP義務化、飲食店では結局何をすれば良いの?

2018年6月に「食品衛生法等の一部を改正する法律」(改正食品衛生法案)が可決、公布されました。これにより2020年6月まで(猶予は1年)に原則として全ての食品等事業者(当然飲食店も)に対して国際基準であるHACCPの導入が義務化されました。しかしながら一体何をしたらよいかわからないという方がほとんどではないかと思います。今回は飲食店で行うべき実践方法についてお話します。 1.改めてHACCPとは? 「Hazard Analysis,and Critical Control Point」の頭文字をとって略したものです。訳としては「危害分析重要管理点」とか「危害要因分析重要管理点」とかなっており、翻訳としては難しいです。厚生労働省のホームページでは、「食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。」と定義されています。この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。 参考:厚生労働省 HACCP そもそもはアメリカの宇宙計画(アポロ計画)の中で米国陸軍、NASA、ピルズベリー社(経営コンサルティング会社)が宇宙食を開発するためでした。簡単に考えれば宇宙では病院もありませんから食料に超高信頼性が要求されているためです。それが後に民生化され、世界中の食品製造業者が採用しております。 わが国においては「総合衛生管理製造過程」(通称マルソウ)という厚生労働省がHACCPの考え方を取り入れて作った安全認証制度がありました。しかし日本独自の内容で国際基準に達しておらず(理由として一般衛生管理で管理する部分を含んでいたり、品質がハザードになっていたり、一部の食品等事業者のみが対象になっていたりと突っ込みどころが満載です。)その上この認証を受けていた企業でも大規模な食中毒を発生させております。(雪印集団食中毒事件)したがって食品衛生の国際化を目指す途上、食品衛生管理の国際標準化に関する検討会において、廃止することが決定され、HACCPが導入されることが規定されたのです。 2.飲食店が取り組むべきは? 厚生労働省では対象事業者に向けて「HACCPに基づく衛生管理(基準A)」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(基準B)」という形をとっており、このHPを読んでいただく方は(飲食店開業希望者)基準Bにあたると思います。この基準Bは① 小規模事業者 ② 当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者 ③ 提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種 ④ 一般衛生管理の管理で対応が可能な業種となっております。小規模事業者のくくりはおおむね50人以下を想定しているようです。しかしあくまで現状であり、しっかり法律でそのようになっているわけではないので、最新の情報を常に入手する必要があります。 この「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」とは簡単に言えばHACCPに基づく衛生管理を簡素化したものです。現在それぞれの団体から手引書が出ており、飲食業においても「公益社団法人日本食品衛生協会」が発行する「HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)」があります。 その中では「今取り組んでいる衛生管理とメニューに応じた注意点をあらかじめ衛生管理計画として明確にし、実施し、記録する、この一連の作業のことです。したがって、これまでとは全く異なる対応ではありません。計画や記録により、衛生管理を『見える化』することです」 と説明しています。 3.一体どうしたらいいの? とりあえず現状として、HACPPのそもそもを考える事で分かりますが、端的に言うと上記にしるした「手引書」にしたがってやっておけば間違いは一応ありません。そのうえで手引書の内容をみていただければわかりますが、一般衛生管理をしっかりとやる、その上で管理を「見える化」し、従来から言われている食中毒予防4原則「つけない、持ち込ませない、増やさない、なくす」を徹底することです。さらに一般衛生管理で難しい部分をHACCPの考え方(CCP管理)で工程を管理してそれもしっかり「見える化」することです。 HACCPについては改めて別に説明を詳しくするつもりですが、大事なことは日々の一般衛生管理です。(なおHACCPでサニテーション管理(SSOP)にあたります)一般衛生管理とHACCPは「車の両輪」にたとえられます。どちらかをするという事ではなくあくまで両方を的確にすることにより、食品の安全がまもられるという事です。 まとめ いかかでしたでしょうか。東京オリンピックなどもあり、近年インバウンドの増加から食を取り巻く環境は著しく変化しております。その中でのHACCPに基づいた適切な対応することが、ひいては自身の店舗におけるブランドイメージの向上にもつながります。 しっかり確実に対応すべきですし、わからない部分に関しては外部の専門家に相談することも、必要に応じて検討する必要があると思われます。

飲食店開業ノウハウ

飲食店開業に必要な資格と届出はどんなもの?

「飲食店開業をするために何の手続きが必要??」 飲食店を開業しようとしている時には色々やることがあり、何から手を付ければと悩まれている方も多いと思います。今回はその中の「手続きに必要な資格、基準」についてお話させていただきます。 1.飲食店開業に必要な資格 ①食品衛生責任者 飲食店を経営し、食料品を扱っている事業を行う場合には必ず「食品衛生責任者が」一店舗に一人以上配置する必要が基準で定められています。従業員がいる場合、経営者でなくとも各店舗の誰かが取得していればよいものとはなりますが、常時店舗にいる従業員が取得すべきと私は考えます。 調理師免許 管理栄養士 上記2つの資格を持っている場合には無条件で取得できますが、一般の方は「食品衛生責任者養成講習会」を受講し、受講内容のテストを受ける必要があります。各自治体の食品衛生協会で行っており、大体月1回未満~10回と幅広く、すぐに満員になることもありますので早めに申し込みをすることをお勧めします。   受講料は3,000円~12,000円で自治体によって違います。大阪ですと月に4~5回、費用が10,500円、加古川市ですと兵庫県管轄となり、費用が8,000円、毎月ではなく2~3か月に1回、明石市ですと費用は同じく8,000円、2か月に1回、神戸市ですと費用はやはり8,000円ですが、月1回となります。   当日は全部で6時間、内訳は衛生法規2時間、公衆衛生学1時間、食品衛生学3時間となっております。修了すると受講修了証(食品衛生責任者手帳)がもらえ、これが営業許可申請に必要となります。したがって開業予定日を考えて申し込む必要があります。   ②防火管理者 収容人数が30人以上の店舗の場合は防火管理者を選任しなければならないです。 この「30人」という数字ですが、従業員も入ります。したがって客席数が25席で従業員数が4名のような「29人」までが防火管理者を設置する必要がない店舗となります。 種類が基準によって2つありまして 延床面積が300平米以上の場合は・・・甲種防火管理者 延床面積が300平米未満の場合は・・・乙種防火管理者 の選任が必要です。 防火管理者になるためにはやはり講習を受講する必要があり、各地の消防署や防災センター等で実施されております。費用は3,000円~5,000円程度です。講習期間ですが2日、乙種は1日になっております。ちなみに加古川市の場合、費用が5,000円、年に3回加古川市防災センターで行われており、神戸市ですと費用が7,500円、月1回神戸市防災コミュニティーセンターで行われております。同じく修了証が交付されます。   2.営業許可を受けられないケース 食品衛生法上の許可は基準がクリアできていれば、原則はおります。 しかし「欠格事由」という例外が存在します。申請前に点検してから事業計画をする必要があります。欠格事由は、 食品衛生法または同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その刑の執行を終わるか、執行を受けることがなくなった日から2年間を経過していない 食品衛生法の規定に違反するなどして許可が取り消されて、その取り消しの日から2年間を経過していない。 以上の物が挙げられます。   3.施設基準 食品衛生責任者講習同様、各自治体でばらつきがありますので当事務所所在地である兵庫県の事例で記載します。業種別基準に関しては飲食店のうち、移動販売等もしくは自動販売機によるものあるいは露店形式の物を除いて記載しております。中でもソーセージや生肉に関してはかなり細かく決められております。 これは食品におけるハザード(危害要因)のうち生物的ハザードに分類される食中毒菌や寄生虫の影響を受ける可能性が高い為です。(ソーセージではボツリヌス菌、生肉ではカンピロバクター、サルモネラ等)   食品衛生法基準条例より抜粋   第1 共通基準 1 営業施設の場所、面積及び構造 (1) 営業施設は、清潔で衛生的な場所に位置すること。ただし、衛生上必要な措置を講じている営業施設については、この限りでない。 (2) 営業施設は、取扱量に応じた十分な広さを有すること。 (3) 営業施設は、それぞれの使用目的に応じて、専用できるように間仕切りその他適当な方法で他と区画されていること。 (4) 営業施設の天井等は、清掃しやすく、ほこりが落下しない構造であること。 (5) 営業施設の内壁は、必要に応じて床面から1メートル以上不浸透性材料(コンクリート、タイル等水が浸透しない材料をいう。以下同じ。)で腰張りし、かつ、清掃しやすい構造であること。 (6) 営業施設の床は、必要に応じて不浸透性材料を使用し、排水がよく、かつ、清掃しやすい構造であること。 (7) 営業施設の作業面の明るさは、50ルクス以上であること。 (8) 営業施設は、換気が十分にできる構造設備であること。 (9) 営業施設には、ねずみ、昆虫等を防ぐ設備があること。 (10) 営業施設には、使用に便利な位置に各種使用目的に応じた流水式洗浄設備並びに従業員専用の流水式手洗設備及び手指の消毒設備があること。 2 食品取扱設備 (1) 営業施設には、その取扱量に応じた数の機械器具類があり、衛生的に使用できるものであること。 (2) 固定された機械器具類又は移動の困難な機械器具類は、清掃及び洗浄しやすい位置にあること。 (3) 取扱量に応じた食品等を衛生的に保管することができる設備があること。 (4) 食品に直接接触する機械器具類は、洗浄しやすく、熱湯、蒸気、殺菌剤等で消毒できるものであること。 (5) 必要に応じ、ほこり、昆虫等を防ぐ設備があり、保冷又は保温の装置のある衛生的な食品運搬具を備えていること。 (6) 冷蔵、冷凍、殺菌、加熱、圧搾等の設備があり、見やすい箇所に温度計、圧力計等必要な計器類を備えていること。 3 給水及び汚物処理…

飲食店融資

6つに当てはまると落ちる??創業融資のチェックポイント

創業融資、ここでは日本政策金融公庫に着目しますが、この6つの内容に当てはまると融資を受けることが難しくなります。 当てはまっていないか確認してください。 1.自己資金が全くない、少ないもしくは不透明な場合 まず自己資金とは文字通り自分でコツコツ貯めたお金であり、一番評価が高いと判断されます。 そのほかには 親族援助(贈与) 「親族援助」は簡単に言えばご両親からもらったお金などが当たります。 現物出資 「現物出資」であれば事業をする際に自分の持っているパソコンや自動車などを提供することです。 みなし自己資金 「みなし自己資金」であれば事業所の敷金、礼金や設備・機器の購入代金がこれに当たります。 注意点は 親族援助については年間110万をこえる場合は贈与税 現物出資であれば状況によりけりですが「時価算定」が必要 みなし自己資金の場合は契約書や領収書、請求書などが証明書類となります。 いずれにしてもわかりにくい場合には専門家に判断を求めることをお勧めします。 自己資金の目安は融資希望金額の3分の1といわれています。これは公庫のHPに記載がありますが、「2018度新規開業実態調査」(日本政策金融公庫 総合研究所調べ)によると創業資金総額に占める自己資金の割合は22%になっております。また前述のデータによると、自己資金の平均は292万であり、これは旧商法の有限会社の資本金でしたので一つの目安となります。 要はその人の「熱意、本気度」を見ているわけです。やる気があればこのぐらい用意するだろうし、その過程を重視しているということです。 尚、公庫の自己資金要件をみて(新創業融資制度の概要)「現在の職種だから自己資金は不要」であるとか「自己資金は10分の1では」と質問を受けるのですが、個人的見解としてこれはあくまで申し込みができるということと認識いたします。(但し何事も例外はあります) 最後に自己資金の不透明性についてですが、要するに「見せ金はバレます。」ということです。上記にも記載しておりますが、一番評価されるのが、自分(配偶者も含む)でコツコツと貯めたお金であり、ヤル気があれば融資希望金額の3分の1は用意できるはずで、過程についてもしっかり見るわけです。半年分の通帳は必ずチェックされますし、公庫の担当者はかなりの融資希望者を見ているので、すぐにわかります。 明らかに見せ金とわかるケース 他人から一括でお金が振り込まれているケース いきなり通帳のお金が増えているケース 宝くじが当たったというケースの主張 上記はほぼ信用されません。注意しましょう。逆にいわゆるタンス預金に関しては当然現物を見せるわけにもいきませんから、事前に銀行に預け入れをし、通帳記帳することで認められる可能性もあります。 2.ブラックリストに載っている場合 ブラックリストというものはないのですが(参考:ブラックリストに載っていると公庫から創業融資は受けられない?)直近5年~10年以内にクレジット事故を起こしていると融資を受けられる可能性が非常に低いです。 事前に調べることができる(参考:JICC、CIC、KSC)ので調べておくのをお勧めします。尚全く覚えがない方でもまれに自身の認識していない情報(誤情報も含む)がある場合もあります。調べておくことで融資担当者の印象もよくなります。 事故情報が載っていても借りられるケースはありますが、希望金額に満たないことがほとんどです。 信用情報で確認した時に5年以上支払いのないケースに関しては、時効を主張することで事故情報を消すことができる場合があります。 3.税金の未納や滞納のある場合 日本政策金融公庫は、発行株式の100%を政府が保有する政府金融機関です。 要するに、日本政策金融公庫が融資する資金の源泉は税金ですよってことです。 そもそも融資を受けるのにその源泉を未納あるいは滞納していて受けることができるかは言わずもがなです。(何事も例外はあります) 4.税金以外の未納及び延滞(公共料金等、家賃) しっかり期日を守って返済をしてくれる方に日本政策金融公庫は貸付をしたいのです。そのため直近6か月の通帳を見て内容を判断されます。 注意したいのが「携帯料金」です。近頃は大抵機種代金を分割で月々の通話料金と一緒に支払いをしております。その分割の機種料金は割賦販売法の下、契約をしていることがほとんどです。したがって延滞すると信用情報にも登録されるので前項のブラックリストにもかかわってきます。 5.キャッシングをしている場合 この部分は住宅ローンを組まれたことがある方には覚えがあるかもしれませんが、一般的に、消費者金融に取引が現在進行形である場合、ほぼ住宅ローンは通りません。要するに収入の中でやりくりができない方は、継続的に返済を続けていけないと判断されているといわれています。特に延滞がなくともそのように判断するようです。消費者金融ほどではないですが、クレジットカードのキャッシングも同様です。 日本政策金融公庫の融資も同様でキャッシング等が残った状態で融資を申し込んだ場合、「借換え」や「返済能力」を疑われることとなるでしょう。 融資を受ける前にこれらの返済を終わらせてから申し込みをすることをお勧めします。 尚クレジットカードを解約する必要はありませんが、消費者金融に借り入れがあった場合、もしくは過去にあった場合は、返済後必ず「解約」することをお勧めします。枠がずっと残っている状態となる場合があり、金融機関に勘違いをされるとも限りません。 6.面談の態度が悪い 皆さんもお金を借りようとしている人間が、相手方に「キレる」ような場合、金を貸したいと思いますか?当たり前ですが、日本政策金融公庫の担当者も人間です。人となりを見ています。あと厳しいことも指摘されることもありますが、お金を貸す側としては審査を通すために必要だから質問しているのです。その程度で機嫌を損ねてしまい、しっかりとした対応ができないような人物は当然融資を受けられないと思いますし、そもそも創業後もビジネスを継続することは難しいと思います。 まとめ いかがでしょうか、逆に言えば上記6つに該当せず、しっかりとしたビジネスモデルがあれば融資を受けられる可能性は高いです。 また、上記に該当していた場合でも専門家に相談することで融資を受けられる場合もあります。 万が一審査に落ちてしまうと2度目は受けづらくなってしまう可能性もありますので、少しでも融資を受けられる確率を上げたいという方はぜひご相談ください。

飲食店補助金事例

飲食店の補助金獲得事例!創業時に200万円獲得したケース

飲食店開業を考えたときに、調達方法として様々なところで進められている補助金。ほぼ未経験で創業した個人事業主の方が200万の補助金を獲得できました。 今回は、アルバイト一人を従業員として始めた個人事業主の方が、200万円を獲得した方法を説明します。 1.地域創造的起業補助金を利用 同補助金は以前「創業補助金」という名前で実施されていた補助金制度で、平成30年度から「地域創造的起業補助金」という名前に変えて募集をされました。尚平成31年及び令和元年になる今年に関しては、現在のところ残念ながらこの補助金は募集されておりません。予算請求の段階では名前を変えてされていたように思いましたが(予算請求の内容が近しいと感じました)、現在も決まっていないようです。 2.要件、もらえる金額 ①要件は 募集開始日以降に創業すること 補助期間完了日(平成30年は12月1日)までに個人での開業や会社設立を行いその代表になること 新たに一名以上従業員を雇用すること 認定市町村の認定を受けていること ②もらえる金額は 補助率は1/2で補助金額の上限は200万 金融機関の融資を受けているか否かで上限金額が変わり、受けていれば200万、受けていなければ100万です 金融機関の融資を受けられるほどの事業計画が作りこまれていれば、多く補助金がもらえるという事です。 3.補助金の使える経費は 補助金の利用目的が明確にわかる物 補助金の交付決定日以降、補助金事業期間内に発生した物 証拠書類等(見積もり、請求書、領収書)によって金額・支払い等が確認できる物 4.実際の採択率 平成30年度は約33%の採択率でした。(358件の申請で120件の補助事業者が採択) 平成29年度は採択率14.7%だったので少し増えた感じになっております ただ、実際にお手伝いする中で毎回思う事なのですが、やはり返還の必要がないお金がもらえるだけあって「非常に面倒な」手続きではあります。 例えば上記補助金の使える経費のところでも書かせていただいていますが、見積もり一つをとっても○○万以上は相見積もりが必要(これは単に二つのメーカーの商品を比較するのではなく、異なる仕入れ先の見積もりが2つ以上必要)となります。もし単一の相手方で商品を仕入れるのであれば、そこにお願いする必要がある明確な理由の記載された書面(選定理由書)が必要であったり等。。。 色々手間がかかることであり、実際に飲食業の方が創業時の忙しいときにご自身でできるのか、個人的には疑問ではあります。 私自身、何度やっても慣れません... まとめ 今回のケースでは金融機関に融資も受けていたため、無事200万の補助金を受けることができました。飲食店だけでなく、様々な業種で創業補助金は使うことができ、非常に使い勝手の良いものでしたのです。 今年も9月以降に同様の趣旨の補助金が発表されればぜひチャレンジしみてはいかがでしょうか。個人的には専門家に相談されるのをおススメします。

飲食店開業ノウハウ

加速する飲食店のキャッシュレス化、メリットやデメリットは??

最近話題のQRコード決済に代表されるキャッシュレス決済、政府は大阪・関西万博が行われる2025年までにキャッシュレス決済比率を現在の約2倍にあたる40%を目標に掲げております。国を挙げて行っており、またお客様の側に立っても「キャッシュレス消費者還元事業」によりわかりやすいメリットもあります。 今回は飲食店側にとってのメリット・デメリットについてお話いたします。 1.キャッシュレス決済とは? 文字通り「キャッシュ(現金)レス(以外)」の取引形態です。どのようなものがあるか見ていきましょう。 クレジットカード 今やほとんどの人が持っていると思われます。日本のキャッシュレス市場は長らくこれ一択でした。最近は同じプラスチックカードを使うもので「デビットカード」が増えてきました。ご存じとは思いますが、決済の方法が違います。クレジットカードは使った金額を後から請求されますが、デビットカードは金融機関の自分口座から即日引き落とされる方式になります。自分の口座に入っている分しか使えないので管理がしやすく、信用情報に問題のある方でも持てるカードとして注目されています。 関連情報:ブラックリストに載っていると公庫から創業融資は受けられない? 電子マネー 上記のデビットカードに少し似ていますが、あらかじめプラスチックカードやスマホアプリに事前に金額をチャージして置き、それで決済する形になります。おさいふケイタイ系(iD、QUICPay)交通系(Suica、PASMO)等があります。 QRコード アジア圏、特に中国を中心に数年前から使われ始め、わが国では昨年より各社がキャンペーンを大々的に行っており、爆発的に広がっているものになります。最大の特徴は上記二つの決済方法は、店(飲食店)側が決済用の機械を用意しなければならなく、それにかなりのコストがかかるため、利便性をわかっていても導入することに二の足を踏むことが多くあります。しかしQRコード決済の場合は店側はQRコードを提示しておくだけでよく、それをお客様がスマホで読み取って決済ができる仕組みです。日本以外のアジアでは屋台でも導入しているぐらいの簡易なシステムであり、インターネット環境(Wi-Fi)があればレジも不要です。 したがってわが国においても、「キャッシュレス消費者還元事業」ではQRコードを中心に進められているように感じます。 2.キャッシュレス消費者還元事業とは?? キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援します。本支援を実施することで中小・小規模事業者における消費喚起を後押しするとともに、事業者・消費者双方におけるキャッシュレス化を推進します。(経済産業省HPより一部抜粋) このようなものです。要するに増税した時の景気対策も一緒にキャッシュレス決済推進とやってしまおうという施策です。 内容は 消費者は増税分以上(5%)がポイントで還元されます。 事業者に対しても「決済端末等の補助」(これに関しては飲食店の場合はほとんど「軽減税率対策補助金」を使う事となります) 決済手数料の補助 「決済手数料の補助」について政府は 決済事業者(決済システム提供企業)は、当該中小・小規模事業者(お店)に課す加盟店手数料を3.25%以下にしておく必要がある 補助にあたっては、決済システム提供企業がお店に提供するキャッシュレス決済のプランを提示し、その中から、中小・小規模事業者が自らに望ましいプランを選択させる(経済産業省HPより一部抜粋) という条件は付けていますが、一定の期間(2019年10月1日~2020年6月中)は支払う手数料の1/3を補助するとのことです。但しこの期間が過ぎてからはどうなるかは今のところわかっていません。 3.店側のメリットは??? メリットとして挙げられるのが、現金管理のコストがかからないこと、衛生面が挙げられます。キャッシュレス決済のものはすべて店側の口座に直接入金されるため、会計ミス(レジクローズの時に現金が合わないetc)が減り、会計時にお釣りを渡す部分が無くなるため会計の時間が減る、売り上げの管理がデータ化されるため楽になる、等が挙げられます。衛生面は現金を触る行為が減るため、おのずと手洗いの回数が減ることにつながります。 4.店側のデメリットは? これは間違いなく「手数料」です!! 今回の補助対象になるための手数料基準であっても3.25%、既存のクレジットカード等は通常4%ぐらいは取られます。皆さんにはなじみがあまりないと思いますが、筆者がホテルマンだったころ(約20年前)、今はありえないですが、ホテル等を旅行代理店経由で予約した場合、大体15%以上は旅行代理店に手数料を取られていました。 若き日の私は約2割を持っていく代理店にもやもやした物を感じたものです。今となっては笑い話ですが・・・ 仮に月に500万のうりあげがあった場合、手数料3.25%だと162,500円が手数料となり、クレジットカードの一般的な4%ですと20万円となります。軽く人が雇えてしまいます。一概に比較できませんが、飲食店の場合多くが従業員募集に四苦八苦している現状を考えると何とも言えないものです。 (参考:串カツ田中が、あえて「キャッシュレス化」を進めない理由) まとめ いかがでしたでしょうか、国としては冒頭に書きました通り「キャッシュレス・ビジョン」と銘打って、急速にキャッシュレス化を進めていきます。飲食店としては上手に使うことができれば一瞬は集客にもつながりますし(長期的には周りがすべて導入すれば差別化にならない)、長期的には顧客管理や金銭管理で役立つと筆者は考えます。 皆さんも自分に合った形で、ぜひ導入を考えてみられてはどうでしょうか。  

飲食店融資事例

飲食店開業の融資、兵庫県で開業、未経験で500万円を借りた事例

日本政策金融公庫で借り入れをする場合、「経験」を要求されます。しかしながら飲食業は特に資格もいらないために参入障壁も低く、経験が少ないままに独立開業をする方もいらっしゃいます。今回ご紹介をするYさんの例もまさしくそうでした。経験不足を補ってどのようにして融資を受けることに成功したのでしょうか?   1.日本政策金融公庫の利用条件 日本政策金融公庫の創業時に使うことができる「新創業融資」の利用条件は3つあります ※日本政策金融公庫HPより引用 創業の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方 雇用喪失等の要件 「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方) 自己資金要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方   簡単に言えば、「事業を始める前、もしくは始めたばかり」で「人を雇う予定」で「自己資金がある程度ある方」です。今回のYさんはこの条件は全く問題なかったのですが、このほかにも、飲食業の場合5年~6年程度の経験年数を要求してきます。   2.未経験の職種で融資を受けるためには? 融資を受けるために大事な事は①過去の経験②自己資金③計画性④熱量(やる気)⑤人脈の5つがあるかです。Yさんの場合、過去の経験と人脈がネックになりました。 実はYさんは補助金も受けているのですが、その時も含め当初はよろず支援拠点や商工会議所に相談をしていました。形式的なアドバイスはあったのですが、かなりピントがずれているとご本人が感じて、当所にご相談をいただきました。その甲斐もあって補助金を受けることができたのですが、補助金を満額受けるためには融資が必要でした。   参考リンク:カフェや飲食店の開業で使える補助金・助成金は?補助金で開業できる??   時間的な制約があったため、自治体の制度融資を使うことはできずに政策金融公庫一択でした。しかも公庫でも一般という形でお願いした場合、期日に間に合わない場合があるため、再度商工会議所に面談の予約を依頼していただきました。   参考リンク:飲食店を開業する時の資金はいくらかかる?どのように準備するか??   ただ、その時に商工会議所の担当者から「希望金額(500万)全額は難しいかもしれません」といわれてしまいました。後日公庫の方からも連絡があった際に、「商工会議所からある程度の情報を頂き確認しましたが、もしかしたら全額は無理かもしれない」という連絡を頂いたと再度相談があり、確認するとどうも未経験者であることを公庫は気にしているようであったのです。そのため当所としては、それ以外の部分での優位点(準備に1年以上かけており、コツコツと自己資金をためていた、事業計画をしっかり作りこんでいる)をアピールするように書面作成をお手伝いし、事前に面談で突っ込まれそうなお話をシミュレーションしたロープレを行う事をいたしました。 すると実際の面談が終わったときに「しっかり準備されていたので多分大丈夫だとおもいますよ」という言葉を公庫の担当者からいただき、結果無事に500万の融資を受けることができました。   3.経験は必要?? 2018年新規開業実態調査を日本政策金融公庫総合研究所が行っているのですが、それによると約83%の方が経験のある業務内容で開業しており、逆に17%の方が全くの未経験の分野の開業です。(趣味起業家は除く)したがって17%の方であってもしっかりとした事前準備をすることで、今回のYさんのように融資を受けることはできます。 但し、もし時間的余裕があるのであれば1年は開業したい業務の修行をしておいたほうが良いと考えます。   まとめ いかがでしたでしょうか、未経験だからといって融資を受けられないわけではありません。事前にしっかり準備をし、適切な対応を取ることができれば融資を受けることは可能です。

飲食店開業ノウハウ

居抜き物件で飲食店を開業する3つのメリット、4つのデメリット

誰もが一度は考える「独立開業」「一国一城の主」、特に飲食業の方は多いかと思います。 そんな時に皆さんが考えるのは「いくらかかるのだろう」という資金の部分で悩むことがほとんどです。そんな時にアドバイスで聞こえてくる「居抜き物件だと安くて早くできるよ」という話、本当にメリットばかりなのでしょうか。今回はこの部分について説明しようと思います。 1. 居抜き物件とは? 「居抜き物件」とは前のオーナーが飲食店等を営業していた時の内装・設備・厨房機器・キッチンや冷蔵庫などの什器、場合によってはお皿や客席など家具一式すべて残っている物件です。反対に「スケルトン物件」とは内装・設備が何もない状態(コンクリート打ち放し状態)のことです。 違いとして「居抜き物件」は元々誰かがそこで営業としていた状態のため、上手くいけばそのまますぐに営業することができ、内装工事費使わない、あるいは少額で済ませることができます。そのため、開業までの時間も短縮することができます。賃貸物件の場合、当然ですが内装工事をしている間も家賃は発生しますので、早く開店できればその部分の費用も抑えられます。 一方「スケルトン物件」は文字通り「何もない状態」からのスタートですから、内装を設計、設備を調達、その後内装工事、客席等を配置する形となります。したがって個人の経営である小さな飲食店の場合でも、1,000~1,500万ぐらいが「スケルトン物件」での開業の費用となります。 余談ですが当事務所がお手伝いしている店舗(兵庫県加古川市・カフェ)の場合約1,300万かかっております。但しこの店舗は自己所有物件のため、設計費用等が掛かっておりません。賃貸の場合で同様の内装設備ですと、様々な金額が掛かってくる(設計費用等)ためおおよそ100万ぐらい変わってくるかもしれません。 2. メリットは? メリットは「初期費用を節約できる」「短期間でオープンできる」が挙げられます。このほかにスケルトン物件の場合、思い通りの店舗設計ができる反面、動きの動線など様々なことを考えなければなりません、業者との打ち合わせも何度も行わなければならず、場合によってはオープンまでの時間が長期に及ぶこともあります。その点「居抜き物件」は最小限の変更で済むのでその分他の業務(メニュー開発等)に時間を割くことできます。 後、内容次第ですが、前オーナーのお客様を取り込めるチャンスもあります。(複合ビル等でオープンする場合)新しい店に代わっている場合、ちょっと行ってみようかなと思ったことが、誰しもあると思います。 3. デメリットとして考えられるのは? ① 店内設備は必要な分そろっているか? ガスや電気等の容量、換気扇等の排気能力が自店の業態あっているのかが重要です。ガスや電気の設備工事は結構高額になります。少しでも費用を抑えるために居抜きにしたのにも関わらず、結果的に0からより金額がかかることもあります。 また居抜きでも前オーナーが別業態の場合はコンセント、ガス管などの位置、排水の場所で今のままで使えるのかを確認しましょう。それらを変更する場合、スケルトンよりもトータルで費用が掛かる場合もあります。 実際にご相談を受けた(結果的に依頼は受けておりませんが)お店で、前のオーナーが呉服店の店に居抜きで入った洋菓子店の場合、お付き合いのある店舗内装工事業者の方から、油排水が多いので配管はやり替えて厨房を作りましょうと提案していただき、融資のお話をさせていただいたのですが、「予算が合わない、そのままの設備で使えるだろう、わざわざ融資の話してもらっても受けるとしても少額でよいし、それぐらいなら頼まなくてもできるだろう。」とそのまま業者のアドバイスも無視をして、オープンをされました。案の定、バターやホイップクリームなど油分のあるものをそのまま排水に流していたために、冷たい水で油が固まり(汚水も流れるところは一か所に合流するので)排水管が破裂、床下浸水を起こしました。ビルのテナントだったため、ビルのオーナー及びほかの店への影響も甚大でした。 結果的に床下清掃、除菌作業、産廃処理等で総額約2,000万かかったそうです。さすがに保険も降りたようですが、1~2割程度のようで、ビルのオーナーもかなり負担したようです。もちろん相談者は自分の店どころではありません。 ② 厨房機器はどの程度引き継いで使えるのか?? 少しお話がそれますが、居抜き物件というものがなぜ発生するのかというところにつながってくるのですが、「原状回復の義務」です。皆さん忘れがちですが、飲食店は出店時だけでなく閉店時にも費用が掛かります。しかも工事や解約前の空家賃で数百万が必要な場合もあります。そのために居抜き店舗として売却することでその閉店コストを減らす、時には造作売買代金でプラスになることもあります。 したがって、閉店コストを下げるために前オーナーは厨房機器等をそのままにしていくのですが、造作譲渡が無料、有料の場合もありますし、どのくらい設備として使う事ができるのかという事がポイントになります。実際お付き合いのある店舗内装工事の会社の方からよく聞くのが、実際居抜きで入って契約した後に、冷蔵庫を見てほしいといわれ、確認すると動くがとても業務で使う事ができず、結果的に廃棄の費用で幾ら、新しく購入設置で幾らかかるとお話して、結果的に新規に購入するよりも高くつき途方に暮れた例があります。またリース契約が残っており、リース料の契約がきた、あるいはリース会社が機器を持ち帰ってしまうケースもあるそうです。さらに仕方なく処分するにも、最悪壁を壊さないと機器を出し入れできないこともあり、余計に費用も掛かるのでここも注意が必要です。 いずれにしても自分で確かめるべき内容ですし、契約後ではどうすることもできません。多くの場合、不動産会社はこの部分に関してはタッチしないことがほとんどのため、契約前に専門家の確認を仰ぐのも一つです。 ③ 内外装はどのくらい使用できるものがあるか??? 居抜き物件を使う意味は「初期費用を抑える」ためですから、小幅な変更で開業すべきであり、妥協すべき点、変更すべき点を明確にする必要があります。ココをいい加減にしてしまうと、思った以上に費用が掛かってしまいます。 これも実際のお話なのですが、蕎麦屋の跡地にラーメン屋が入ったケースで似たり寄ったりの業種のため(厨房機器的には)少し改造すればこのまま行けると、私ならできるとオーナーは自分のできる範囲の小幅な変更でオープンをされたそうです。厨房業者さんが個人的に引っかかっていたらしく、「何かあれば相談に乗りますね」と声かけはしていたそうです。すると半年後に「厨房の床に水がたまる」と、見に行くと厨房は水浸し、ゆで麺機、洗い場の水が垂れ流しで床下が沈没している状態だったそうです。厨房だけでなく、壁紙やエアコンなども全く手を入れていなく、次々と壊れていきこの段階で「資金どうにかならないか」と聞かれても、案の定どうにもならず(厳しくなってからの借り入れは難しいです)つぶれてしまったそうです。 ④ 前オーナーの撤退理由。 個人的ない理由で閉店した(黒字ではあったが、家庭の事情、収入面で思ったようなものでなかった等)のであれば問題ありませんが、大半は不採算店つまり赤字店です。そうなるとメリット部分で少し触れた、「新しいお店に変わったから行ってみようかな?」ではなく、以前の常連客は習慣として入店して雰囲気の違いを感じ、さらに味が思っていたものでなかった場合、一気にマイナスの印象となりかねません。また、新規客は前の店は知らないが、つぶれたお店の後に入ったところという、マイナスなイメージを持つ場合など、スケルトン物件で一から営業するよりも売り上げが落ち込む傾向があります。 したがってできる限りしっかりとした下調べ(近隣住民等、不動産屋、大家等に確認)、それと同時に新規オープンであることの大々的な宣伝活動をして、悪いイメージの刷新をすべきです。 4. どうやって探す??? 上手く使えば、費用を抑えて開業できる居抜き物件ですが、飲食店の店舗物件となると数は少ない傾向にあるので、専門サイトの利用も検討すべきです。いくつか記載します。 ・アットホーム 賃貸店舗、貸店舗の物件情報 (全国) ・飲食店.com(首都圏、関西、東海、九州) まとめ いかがでしたでしょうか。資金を抑えて開業するためには有効な手段の「居抜き物件」ですが、いくつかの注意点を抑えずに契約をしてしまうと思わぬ追加投資を迫られます。自身で確認をすることはもちろんのこと、飲食店開業に詳しい専門家に相談することも検討したほうが良いかもしれません。

飲食店融資

ブラックリストに載っていると公庫から創業融資は受けられない?

創業融資を考える時に、皆さんが興味を持たれるフレーズとして「ブラックリスト」というものがあります。これについてどのようなものなのか、さらにブラックであっても資金調達することができるかを説明します。   1.ブラックリストとは ①そもそもそのようなリストは存在しません。 国の指定する信用情報機関に事故情報(延滞、債務整理、自己破産)が登録されることを、一般的に「ブラックリストに載る」と表現しているだけです。 ②国の指定する個人信用情報機関は3つ 主に消費者金融の団体が作った、日本信用情報機構(JICC) 主にクレジットカード会社の団体が作った、株式会社シーアイシー(CIC) 一般社団法人全国銀行協会の運営する全国銀行個人信用情報センター(KSC) この3つに関しては情報共有がされており(CRIN情報)どこか一つに登録されるとすべてに影響が出ると考えられております。 ③主な登録原因 携帯電話料金の未払い(但し通話料に関しては、クレジットカード払いで遅延がなければ該当しない) クレジットカードの支払遅延(おおよそ1週間から10日前後の期間と考えられる) クレジットカードの代金未払い 奨学金の支払遅延 上記のようなことが現在及び過去にあると借り入れが非常に難しくなります。 ④逆に掲載されない事項 公共料金の遅延 税金の遅延 過払い金の請求 しかし公共料金の遅延及び税金の遅延に関しては、そもそも「日本政策金融公庫でお金を借りたい場合、6つの内容に当てはまると融資が難しい」という部分に引っかかるため、問題外です。 2.履歴に乗っている期間 ①日本信用情報機構(JICC) 遅延 任意整理 自己破産 強制解約 1年 5年 5年 5年   ②株式会社シーアイシー(CIC) 遅延 任意整理 自己破産 5年 5年 5年   ③全国銀行個人信用情報センター(KSC) 遅延 代位弁済、不渡り 任意整理 自己破産 5年 5年 5年 10年   上記からわかるように一度登録されてしまうと大体5年は消えないと思ってください。 後、時々いらっしゃるケースでは複数の金融機関に審査を申し込んで、その情報が残っている(大体6か月~1年)ことで、登録される方もおります。   3.ブラック状態で登録されることのデメリット (1)クレジットカードの作成は難しい…

飲食店補助金

カフェや飲食店の開業で使える補助金・助成金は?補助金で開業できる??

飲食店など「自分のお店」を開業準備する時に実感するのが「思ったよりすごーくお金がかかる」こと。ほとんどの方がこのお金(資金)を「自己資金+金融機関からの借入(主に日本政策金融公庫より)」で用意することになります。 しかし幼いころからの教育??の賜物か、「融資って借金でしょ、嫌だな」という方が多いです。しっかりとした計画であれば、むしろ借りるべきなのですがそう思えない方が多いのも事実です。そんな方にも役に立つのが「補助金・助成金」という国や地方自治体から支給される返済義務のないお金です。意外と知っているようで知らない「補助金・助成金」について今回は説明いたします。 1.補助金・助成金とは 簡単に言えば国や地方自治体からの「もらったら返さなくてよいお金」のことです。色々な条件がありますが、前提としてはあなたの事業(お店)が社会全般に貢献、つまり利益になると評価される必要があります。なぜならば補助金・助成金の趣旨は限界集落に代表される人口問題に対する地域の活性化のためや、産業復興による雇用促進のための物、要するに「地域の経済が元気、つまり人が集まり、そこでの雇用が発生するアイディアにはお金をあげますよ。」という事です。 但し補助金と助成金では違いもあります。 補助金 助成金 支払元 国・地方自治体(主に経済産業省) 国・地方自治体(主に厚生労働省) 返済義務 なし なし 開業前の支払 原則なし 原則なし 受給条件 要件を満たした上での審査制 原則要件を満たせば受給できる 応募期間 特定のすごく短い期間 随時、比較的余裕ある期間 上記を見てお分かりの通り、違いは「補助金」は応募期間が短く、採択されるために取り組んでも一定の人しかもらえないもので、「助成金は」通年募集されていることも多く、しっかり要件を満たせばほぼ全員がもらえるものであるところです。 2.カフェ、飲食店開業で使える補助金 ①創業補助金 昨年平成30年は「地域創造的起業補助金」、平成29年は「創業・事業承継補助金」という名前であったものです。令和元年は今現在では募集はありません。今後どうなるかはわかりませんが、最大200万円の支給額であり、飲食店開業にはそれ以上の資金がかかることがほとんどなのでお勧めです。 ちなみに当事務所では、昨年度1件の申請をして無事200万円採択されております。 ②軽減税率対策補助金 今TVCMも流れているこの補助金、簡単に言えば10月からの複数税率、詳しくは別の機会に書きますが、10%と8%の税率のものが存在することになります。それに応じて仕入の受発注システムや販売時のPOSレジ等を新しく導入する中小企業・小規模企業者等(参考:中小企業庁HP)に対しての物です。多くの飲食店開業者が当てはまるものですので、ぜひ申請してください。令和元年9月30日までに導入し、12月19日までに申請が必要です。(一部例外あり) (参考HP:軽減税率対策補助金) ③小規模事業者持続化補助金 これは開業後に販路開拓に取り組む費用として商工会議所、商工会の支援を受けて経営計画書を作成して、その計画に沿って取り組む販路開拓費用の一部を補助するものです。当事務所にもHP作成会社より「今なら補助金でHP作成ができますよ」と結構営業が入ります(笑)。かなり対象範囲が広い補助金ですが、例えば飲食店ではチラシの作成や店舗のバリアフリー化、テイクアウト商品のためのショーケース型冷蔵庫等が考えられます。 ④ものづくり補助金 革新的な取り組みに対して国が支援をするというものです。金額も最大1,000万円と大きいものですが、飲食店で地域食材を使ったメニューの開発等が考えられますが「革新的」という部分をかなり練りこんでいく必要があると思われます。 3.カフェ、飲食店開業で使える助成金 ①キャリアアップ助成金 基本的には雇用している人の労働条件を見直した時に受け取れるものです。わかりやすい例ではアルバイトとして働いていた方を半年後に正社員として雇用する場合に助成金が受け取れるものになります。7つの種類に分かれております。(参考:厚生労働省HP) ②特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 高齢者や母子家庭の母などの就職困難者をハローワークの紹介で、継続雇用した場合に助成金が受け取れるものです。飲食店の例としてはランチタイム限定で新たに雇用する場合に、母子家庭の母親を採用するするケースが考えられます。(参考:厚生労働省HP ) 4.補助金で開業は? 補助金及び助成金に共通するのが、「後払い」であることです。 「地域創造的起業補助金」を例にお話ししますと、応募してから実際にお金が入ってくるまでに約1年かかります。したがって補助金を「元手」に開業はできません。 まとめ いかがでしたでしょうか。補助金・助成金は「返済義務のないお金」のため上手く使えば非常に開業の助けとなります。但し申請したからといって補助金に関しては必ずもらえるものでもなく、助成金も含めてですが、要件であったり用意すべき書面、作成や提出等かなり煩雑で複雑です。専門家や支援機関の力を借りて進めていくことをお勧めします。

飲食店融資

飲食店を開業する時の資金はいくらかかる?どのように準備するか??

「いくら用意したらよいのだろう??」 飲食店に限らず、独立して自分の城を築きたいとお考えの方なら必ずといっていいほど悩むのはズバリ「お金」その中でも開業の資金についてお話していきたいと思います。 1.開業費用の平均はいくら? 開業費用目安として言われているのが、坪60~80万として小規模店(15~20坪)で1,000~1,500万かかるといわれております。 日本政策金融公庫の「2018年度新規開業実態調査」においても開業費用の平均は1,062万円となっており、全業種の平均値からもおおよそ1,000万は見ておく必要があります。 参考資料:日本政策金融公庫「新規開業実態調査」(2018年) 私がお手伝いしているカフェの例では約22坪で大体1,000万かかっております。但し、この店は家族の所有物件を店舗にしているため、店舗取得費用が掛かっておらず、純粋な設備等の費用です。店舗取得費用として家賃を10万円と設定した場合、大体100~200万の金額がそこにプラスされます。 2.開業時にかかる費用の内訳 まず「物件取得」の費用があります。飲食店に限らず、店舗の開業に必要なものになります。前述のように自己所有もしくは親族所有の物件で行うケースはまれかと思われます。各種飲食店開業セミナーなどに行ったとしても、店舗取得費用は賃貸前提でお話が進められることがほとんどであり、「店舗投資」の費用を抑えようとする場合「居抜き物件」を推奨するケースもあるぐらいです。地方自治体がかかわる「空き家活用」による補助が出る場合(兵庫県加古川市、石川県河かほく市等)もありますのでいろいろな意味で賃貸が一般的となっているようです。 参考資料:加古川市空き家活用支援補助制度 賃料の内訳は 保証金(敷金) 平均して10か月が相場です(6~12か月の間で設定されることが多い)個人の住居を賃貸する時と考え方は同じく、退去時にはかえってきますが、通常は償却額があらかじめ決まっており、それを差し引いた金額が実際に返還されます。契約時に確認することをお勧めします。 礼金 関東地方にお住いの方はご存じと思います、敷金と違い返還されません。大体賃料の1~2か月であり、  取らないオーナーもいます。 仲介手数料 不動産業者に支払うもので、賃料の1か月分が相場です。これも不動産業者によって変わってきます。 造作譲渡費 「居抜き物件」の場合、前の借主にその譲渡代金を支払うことがあります。これも内容によって様々なケースがあります。 前家賃 契約日からその翌月分を最初に払うことが多いです。但しオーナーとの関係性によっては、フリーレントの交渉ができる場合もあるので契約時に確認しましょう。 次に「店舗投資」の費用があります。その内訳は 内装、設計費 店舗の内装設計費用です。 外装工事 これは主に駐車場及び看板等の設計、作成、設置費用です。 厨房機器費 厨房機器の準備費用(購入orリース)です。 店舗クリーニング費 主に「居抜き物件」の場合にかかるものになります。状況によってはかなり高額になることもあります。 備品費 食器、ユニフォーム、レジ、PC、プリンター等の準備費 販売促進費 広告宣伝費用なります(グルメサイト掲載、チラシ等) 人材募集費 従業員の募集費用です。最近は掲載のみであれば無料(indeed)の媒体もありますし、SNSで募集する方法もあるかと思います。 ざっと上げるとこのような形になります。 さらに運転資金があります。飲食業の場合、月にかかる固定費の6か月分は必要といわれています。開店当初は目新しさからお客様も集まりますが、2~3週間たつと売り上げも落ちることがよくあります。オープンから黒字が続くということはまれで、半年赤字が続くという店舗も珍しくはありません。運転資金の不足は即廃業につながるのでしっかり確保しておくことをお勧めします。 3.資金の調達方法 親や血縁者、親族からの調達 友人、知人からの調達 日本政策金融公庫の融資制度による調達 地方銀行、信用金庫の制度融資(保証協会付き)を用いた調達 補助金、助成金の利用 以上の5つの方法が考えられます。 親、血縁者、親族、または友人知人から調達できればとても簡単ですが、気を付ける点があります。金銭の授受についてはしっかり書面化しておくことです。「借金」なのか返済義務のない「支援」であるのかです。トラブルを未然に防ぐことができます。また親、血縁者、親族、または友人知人から調達しても、資金が不足した場合、日本政策金融公庫や信用金庫等の制度融資からの「融資」を利用することになりますので、初めから「融資」で準備することも一つかと思います。 「融資」は日本政策金融公庫と制度融資で多少の違いがあります。日本政策金融公庫は国が100%出資の公的機関であり、制度融資は「信用保証協会」という公的機関が民間金融機関からの融資の保証をするという形になります。どちらも中小企業の少なくないリスクを公的機関がバックアップするものでありますが、片方が公的機関の直接貸付に対し、もう一方は間接的に貸付をフォローする形になります。さらに融資までの期間が日本政策金融公庫で約1か月なのに対し、制度融資は約2~3か月と少し差があります。制度融資に関しては、公的機関の直接貸付では無いため、金融機関と保証協会の2か所で審査を受けるためです。但し、制度融資に関しては地方自治体によって保証料等の補助、金利の優遇を受けられる場合があります。 参考資料:兵庫県中小企業融資制度 補助金、助成金は返す必要のないため、大変有効な調達方法ではありますが細かい条件があり、必ずしも自分の用途に合っているとは限らないのでご自身でしっかり確認するか、専門家等に相談することも検討しましょう。 4.自己資金がなくても開業できる?? 最後に時々見かける「自己資金0円から」もしくは「自己資金数万円から」というキャッチフレーズを掲げている飲食店開業支援の会社がありますが、結論から言いますと「絶対ムリ」とは言いませんがかなり難しいといえます。自己資金がないということは「融資」で調達するわけですが、日本政策金融公庫の新創業融資制度の自己資金要件を見ると, 「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」となっております(日本政策金融公庫:新創業融資制度の概要より引用) 何事にも例外はありますが、原則は上記のようであり、民間の金融機関もよほどのこと(事業計画案が綿密かつ現実的に実現性のあるもので説得力がある等)なければ同様となります。コツコツと自己資金を準備するという事ができていない人に計画性が求められる事業を続けていくことができると考えるでしょうか。さらにもっとわかりやすく言えば、自分だったらお金を貸せるかという目線で考えるとわかると思います。資金を準備しなければ開業はできませんが、何のために事業をするかを考えれば、計画性は非常に大切かと思われます。もっと言えばしっかりとした事業計画書を作成する必要があると考えます。 まとめ いかがでしたでしょうか。開業は思っているより沢山の費用が掛かってきます。したがって創業計画をしっかり立てて、場合によっては書面にし、それに従って開業準備にあたり、さらにコツコツと自己資金を貯め、適切な融資を受けることが永続的に事業を続けていく秘訣となります。安易な考えで「自己資金0で開業」なんてことはくれぐれも考えず、計画を綿密に練る、もしくは創業に詳しい専門家等に意見を求めて自身の夢を確実にかなえましょう。