最近話題のQRコード決済に代表されるキャッシュレス決済、政府は大阪・関西万博が行われる2025年までにキャッシュレス決済比率を現在の約2倍にあたる40%を目標に掲げております。国を挙げて行っており、またお客様の側に立っても「キャッシュレス消費者還元事業」によりわかりやすいメリットもあります。
今回は飲食店側にとってのメリット・デメリットについてお話いたします。
1.キャッシュレス決済とは?
文字通り「キャッシュ(現金)レス(以外)」の取引形態です。どのようなものがあるか見ていきましょう。
クレジットカード
今やほとんどの人が持っていると思われます。日本のキャッシュレス市場は長らくこれ一択でした。最近は同じプラスチックカードを使うもので「デビットカード」が増えてきました。ご存じとは思いますが、決済の方法が違います。クレジットカードは使った金額を後から請求されますが、デビットカードは金融機関の自分口座から即日引き落とされる方式になります。自分の口座に入っている分しか使えないので管理がしやすく、信用情報に問題のある方でも持てるカードとして注目されています。
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電子マネー
上記のデビットカードに少し似ていますが、あらかじめプラスチックカードやスマホアプリに事前に金額をチャージして置き、それで決済する形になります。おさいふケイタイ系(iD、QUICPay)交通系(Suica、PASMO)等があります。
QRコード
アジア圏、特に中国を中心に数年前から使われ始め、わが国では昨年より各社がキャンペーンを大々的に行っており、爆発的に広がっているものになります。最大の特徴は上記二つの決済方法は、店(飲食店)側が決済用の機械を用意しなければならなく、それにかなりのコストがかかるため、利便性をわかっていても導入することに二の足を踏むことが多くあります。しかしQRコード決済の場合は店側はQRコードを提示しておくだけでよく、それをお客様がスマホで読み取って決済ができる仕組みです。日本以外のアジアでは屋台でも導入しているぐらいの簡易なシステムであり、インターネット環境(Wi-Fi)があればレジも不要です。
したがってわが国においても、「キャッシュレス消費者還元事業」ではQRコードを中心に進められているように感じます。
2.キャッシュレス消費者還元事業とは??
キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援します。本支援を実施することで中小・小規模事業者における消費喚起を後押しするとともに、事業者・消費者双方におけるキャッシュレス化を推進します。(経済産業省HPより一部抜粋)
このようなものです。要するに増税した時の景気対策も一緒にキャッシュレス決済推進とやってしまおうという施策です。
内容は
- 消費者は増税分以上(5%)がポイントで還元されます。
- 事業者に対しても「決済端末等の補助」(これに関しては飲食店の場合はほとんど「軽減税率対策補助金」を使う事となります)
- 決済手数料の補助
「決済手数料の補助」について政府は
- 決済事業者(決済システム提供企業)は、当該中小・小規模事業者(お店)に課す加盟店手数料を3.25%以下にしておく必要がある
- 補助にあたっては、決済システム提供企業がお店に提供するキャッシュレス決済のプランを提示し、その中から、中小・小規模事業者が自らに望ましいプランを選択させる(経済産業省HPより一部抜粋)
という条件は付けていますが、一定の期間(2019年10月1日~2020年6月中)は支払う手数料の1/3を補助するとのことです。但しこの期間が過ぎてからはどうなるかは今のところわかっていません。
3.店側のメリットは???
メリットとして挙げられるのが、現金管理のコストがかからないこと、衛生面が挙げられます。キャッシュレス決済のものはすべて店側の口座に直接入金されるため、会計ミス(レジクローズの時に現金が合わないetc)が減り、会計時にお釣りを渡す部分が無くなるため会計の時間が減る、売り上げの管理がデータ化されるため楽になる、等が挙げられます。衛生面は現金を触る行為が減るため、おのずと手洗いの回数が減ることにつながります。
4.店側のデメリットは?
これは間違いなく「手数料」です!!
今回の補助対象になるための手数料基準であっても3.25%、既存のクレジットカード等は通常4%ぐらいは取られます。皆さんにはなじみがあまりないと思いますが、筆者がホテルマンだったころ(約20年前)、今はありえないですが、ホテル等を旅行代理店経由で予約した場合、大体15%以上は旅行代理店に手数料を取られていました。
若き日の私は約2割を持っていく代理店にもやもやした物を感じたものです。今となっては笑い話ですが・・・
仮に月に500万のうりあげがあった場合、手数料3.25%だと162,500円が手数料となり、クレジットカードの一般的な4%ですと20万円となります。軽く人が雇えてしまいます。一概に比較できませんが、飲食店の場合多くが従業員募集に四苦八苦している現状を考えると何とも言えないものです。
(参考:串カツ田中が、あえて「キャッシュレス化」を進めない理由)
まとめ
いかがでしたでしょうか、国としては冒頭に書きました通り「キャッシュレス・ビジョン」と銘打って、急速にキャッシュレス化を進めていきます。飲食店としては上手に使うことができれば一瞬は集客にもつながりますし(長期的には周りがすべて導入すれば差別化にならない)、長期的には顧客管理や金銭管理で役立つと筆者は考えます。
皆さんも自分に合った形で、ぜひ導入を考えてみられてはどうでしょうか。